ニュージーランドの留学や移住、起業、旅行、就職など総合情報サイト

第12回  医療費無料化の現状-医療保険編 

『知ってよかった!“ニュージーランドの保険豆知識”』の記事一覧へ

永住者もしくは通算2年以上のワークビザをお持ちの方は、キーウィ同様に医療費無料化の恩恵を受けられます。にもかかわらず、実際そうならないこともある現状について、もう少し具体的にお話してみましょう。
 
まず身近な例でいくと、
「花粉症になってしまい、GP(一般医)から皮膚科への紹介状が出たものの、公立病院で取れた予約は4ヶ月先。とても待てないので自腹を切って私立の皮膚科に行った。」という、よくある話。
 
「継続治療も私立となると相当の出費。結局一時帰国して日本で薬を処方してもらった。」
という、続きまであった人もいます。私立病院の費用は保険がない限り全額自己負担ですから、精密検査だなんだとなると費用もばかになりません。「飛行機代をかけても日本へ」という発想が出てきても、不思議はないでしょう。いずれにしても、痛みや痒みを何ヶ月も我慢するのは辛い話です。
 
 これがニュージーランドの医療費無料化の現状の一部です。もちろん、お住まいの都市、かかる専門医によっては、「すぐに予約が取れた」という場合もあるはずです。ただし、人口急増中のオークランドは医療施設や医療従事者が慢性的に不足しており、問題は深刻です。いずれにしても現状の医療制度は、久しく社会問題になっています。
 
 さすがに救急車で担ぎこまれるような緊急事態には、日本同様に迅速な対応がなされています。知り合いのキーウィで2人ほど職場や自宅で倒れた人がいました。幸い一命を取りとめた後、「あと数時遅かったら、どうなっていたかわからない」と、まったく違う病気の2人が口を揃えて言っていたのは印象的でした。「NZ医療は施設が足りないだけで、水準は十分高い」と改めて思った一件です。
 
 しかし、そのうちの1人は順番待ちのある公立病院を最初から諦め、手術も治療もすべて私立病院で行いました。今でも投薬と定期検査を続けています。彼は元来健康で、医療保険にも入っておらず、数万ドルの医療費をすべて自分のポケットから払いました。保険があればほとんどカバーされていたかと思うと、本人だけでなく、私まで残念です。手痛い出費ですが、働き盛りの身、一刻も早く仕事に戻り、家族も自分も安心するには必要な経費だったようです。
 
 日本人の死亡原因の6割は、「がん」「心筋梗塞」「脳卒中」からなる「三大疾病」です。2人に1人以上はこのいずれかで亡くなり、最悪の事態にならなくても闘病中だったり、後遺症に悩まされたりしている人が多数いることになります。誰にとってもあってはならない事態ですが、数字が物語っているように誰にでも起こりうる事態なのです。次回はNZのがん治療の現状の一部をお送りします。

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

Accelerate Consulting
PO Box 87411, Meadowbank, Auckland 1742, New Zealand
Tel : 09 578 0792
Mobile : 021 968 968
E-mail : takahashi@accelerateme.co.nz
A disclosure statement is available on request and free of charge.