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第11回  永住者の医療保険-医療保険編 

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留学、ワーキングホリデー、駐在など一時的にニュージーランドに滞在する場合の医療保険に関しては、前回お話したとおりですが、永住権や国籍を取得している場合はまったく話が違ってきます。この辺はお持ちのビザで厳格に分かれています。永住者もしくは通算2年以上のワークビザをお持ちの方は、政府が力を入れている医療費無料化の恩恵に授かることができます。
 
 具体的に言うと、体調不良の場合、緊急や時間外でない限り、まず近所のGP(一般医)で受診します。風邪などちょっとしたことであれば診療はここまでで、GPの費用(だいたい数十ドル。これ以外に処方された薬代)を自己負担して終わりになります。ここまでは基本的に誰でも有料です。
 
 GPが専門医での診療を勧め紹介状を出した場合は、次の段階に進みます。公立病院などで専門医と予約を取って受診し、必要であれば精密検査、手術、入院となります。永住者もしくは通算2年以上のワークビザをお持ちの方であれば、公立病院での専門医の受診や手術・入院はほぼ無料となります。
 
 これを聞く限り、「なーんだ、GPの数十ドルだけ自分で払えばいいんだから、医療費は無料も同然。保険料や自己負担がある日本の健康保険制度よりずっと得!」と、お思いでしょう。医療費に関しては、まさにその通りです。しかし、ここには大きな落とし穴があります。問題はいつ専門医に会えるか、です。
 
 政府の統計によると、2004年2月現在、公立病院での専門医による初診を6ヶ月以上待っている患者数は、全国で2万7千人以上に達しています。手術・入院でも長い順番待ちが珍しくありません。こうした問題は、
1.慢性的な専門医不足、
2.国が医療の優先順位決定権を持っていること、に大きく起因しています。
 
 自分では重い病気と思っていても、それ以上に急を要する患者がいれば順番がどんどん後回しになってしまうのです。つまり、医療費が無料な分、患者は何も決めることができません。もちろん、その間に病状が悪化したり、手遅れで手術の機会を失ってしまったりという話はごまんとあり、年中新聞で取り上げられ、大きな社会問題になっています。
 
 そのため、キーウィの3人に1人は医療保険に入り、万が一の時に備えています。医療保険があれば、医療費が全額自己負担になる私立病院での受診や入院・手術も保険でカバーできますので、受診したい時に病院にかかることができます。医療の選択肢を公立病院のみならず、私立病院にも気軽に広げ、"医療を受けたい時に受けられる安心感"をより確実にするための保険――、これが永住者のための医療保険です。

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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