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現金のない町、ムルパラ

ベイ・オブ・プレンティの小さなコミュニティ、ムルパラには、ATMが一台しかない。ニュージーランド・クレジット・ユニオンが管理しているこのATMが、強盗によって建物の壁から剥がされ、盗まれてしまった。

クレジット・ユニオンの壁から持ち去られたATMは、8キロ離れた場所で見つかった。トレイラーで運ばれる際に、転げ落ちたと警察では見ている。町で唯一のテイクアウトショップを経営するマリーナ・テディさんは、クレジット・ユニオンを利用して店の売り上げを管理しているが、現金を求めて、45分かけてロトルアまで行くことを余儀なくされている。彼女のように移動できない人々、特にお年寄りは、バスも使えないようだ。薬局を経営するバブ・ワレンさんは、「店に現金を求めてやってくる人もいますが、うちでは200ドルを流通分として置いているだけで、希望者に差し出すわけにはいきません」と困り果てている。かつてムルパラは、林業の盛んな美しい町であったが、経済的な低迷により、雇用がなくなっていった。その結果として今では町の犯罪率は高まり、数少ない地元の商店がターゲットとされている。実はATMへの攻撃も初めてではない。クレジット・ユニオンでは、スタッフの安全のために、いっそのこと現金の取り扱いを止めるべき、という案も浮上している。

ATM復旧の目途がたたないこの町で、住民は現金の流通がなくなるかもしれないと危惧している。