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第240回  自動車保険のよくある質問 第2回:サードパーティー保険のよく起きる問題 

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前回からのつづきで、自動車保険に関するよくある質問をご紹介します。今回はサードパーティー保険の加入者から頻繁に受ける質問の典型的な例をご紹介します。フルカバー保険との違いをよくご理解ください。
 
【質問】:交差点で事故にあいました。横から出てきた車に当てられました。相手に100%過失があるのですが、お互いサードパーティーなので、「保険でお互いの車を修理しよう」と言われました。自分は被害者なので断ると、相手が「事故はお互いの不注意だった。自分だけなら保険は使わない。」と言い出し、修理ができずにいます。相手の保険会社に連絡したら「加入者以外とは話せない」と言われ、自分の保険会社に連絡したら「そういう交渉はできない」と断られました。保険に入っているのにどうしてですか?
 
【回答】:まずサードパーティー保険とは、相手の車もしくはぶつけた物など、他人の物を修理するための保険です。つまり、自分が加害者になったときの保険で、「相手に100%過失がある」「自分は被害者」と主張する場合、自分の保険会社は関係がなく、動きようがありません。
 
 サードパーティー保険の場合、自分の保険会社にクレームするということは、相手に対して自分の賠償責任を認める、つまり自分が加害者であったことを認め、免責を払って相手の車かぶつけた物を修理または弁償するということを意味します。
 
 相手が自分の保険会社に直接クレームできないように、質問者も相手の保険会社に直接クレームすることはできません。そのため「加入者以外とは話せない」と言われたのでしょう。このまま放っておくと修理ができないので、事故の相手を辛抱強く説得するしかありません。
 
 皆さんご存知のようにNZではよほどの人身事故でもない限り、交通事故では警察が来ません。双方の主張が食い違った場合、目撃者が名乗り出てくれない限り第三者がいないので、加害者を特定することは難しくなります。相手が非を認めないなら簡易裁判所に訴えるなど法的手段に持ち込まない以上、話が先に進まなくなるかもしれません。
 
 これがフルカバー保険であれば、自分の保険会社に事故があったことを報告し、状況を説明して「相手に100%過失がある」という主張をきちんと伝えます。クレーム用紙に絵を描く欄があるはずなので、絵入りでできる限り細かく状況を説明してください。フルカバー保険の場合はどちらの過失であっても保険で自分の車の修理ができるので、修理も進めてください。あとは双方の保険会社で話し合います。「自分は被害者」という主張が認められれば、修理費はすべて相手の保険会社がもち、免責を払う必要もありません。
 
 これが皆さんが期待する、「保険会社に丸投げ」と言われる状況で、煩わしい交渉を保険会社が代わりにやってくれるのはフルカバー保険の大きな利点です。サードパーティー保険でも自分が加害者なら「丸投げ」できますが、被害者の場合は自分の保険会社は「無関係」と思ってください。ここが2つの保険の大きな違いです。
 
 ひとつ例外があるとしたら、サードパーティー保険に入っていて自分が被害者でも、
1)相手が保険に入っておらず、加害者であることを認めている
2)相手が特定でき、きちんとした連絡先がある
3)車の修理がされていない
という状況であれば、一般的に保険会社が間に入って相手と交渉してくれます(保険会社によって若干条件が違うので詳細は要確認です)。私のお客様でも、無保険のオートバイにぶつけられ、保険会社が間に入って無事修理を終えたケースなど実例があります。ご参考にして下さい。

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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