先週の金曜日はガン協会のダフォディル・デーでした。街を行く人の胸の黄色い水仙の花が鮮やかでした。ガンへの啓蒙が高まっているタイミングですから、今週もまたガンの話を続けてみましょう。
終末医療機関のホスピスはNZ中にありますが、オークランドのベイエリアにはドーブ・ハウスというハトのマークのホスピスがあります。ここを訪れる患者さんのほとんどはガン患者です。彼らのニュースレターの中で28歳のガン生還者の手記があったのでご紹介します。
ペンネームでジンクスさんと名乗る彼女はバリバリ働き、キャリアの階段を登っているところでした。若く健康で、何世代にもわたって家族の誰もガンになどなったことがなく、お母さんは消化器系の看護士でした。しかし、彼女はいつからだったのか思い出せないほど前からお腹の調子が悪く、28歳の誕生日を前に大変な腹痛に見舞われ、とうとうGPに行き、専門医を紹介してもらいました。
「私はあの三つの言葉を今でも覚えています。とても静かな大海原に水滴を垂らすようでした」と彼女が語る、You Have Cancerと宣告された瞬間は読んでいるこちらも身震いするようでした。さらに彼女のガンはT4N1でした。これも職業柄ドキリとするものでした。
これはガンの進行を示す記号で、Tはガンの大きさを示すもので1~4まであります。つまり彼女のT4は最大です。特定疾病(トラウマ)保険に加入していて、T4と診断されたら、ただちに保険金が全額支払われると言ったら、その深刻度がおわかりでしょう。、Nはリンパ節への転移を示すもので、0なら転移なしですが、1はすでに転移が認められるものです。
ジンクスさんは12回の化学療法に臨みました。化学療法の間隔は通常3週間で、最大10ヶ月のプログラムを組みます。これでいくと、彼女は受けられる最大規模の化学療法を受けたことになります。これほど過酷な治療が可能だったのは、「若さ」と「体力」という貯金があったからなのでしょうか。驚くべき集中治療です。
ジンクスさんは手記の中で、「私の命を救ってくれたのは医療保険でした」とはっきり述べています。保険屋だからこの点を強調したいのではなく、それに続く彼女の言葉こそ、よくご理解いただきたいと思いました。
「(保険があったので)大腸内視鏡検査を受けるのに、6~10ヶ月の待ち時間を飛び越えて、真っ先に受けることができた」
つまり、無料の公共医療に頼っていたら、彼女はお腹にT4のガンを抱えていると知るまでに6~10ヶ月待たなければならなかったということです。そこまで待たされたら、どういう状況になっていたことか。みなさんご存知のとおり若ければ若いほどガンの進行は速く、T4のガンは2つ、4つと分裂していったことでしょう。彼女も認めるとおり、「タイミングがすべて」でした。
これは最近のオークランドでの話ですが、場所によっては待ち時間がもっと短かったり、長かったりするはずです。いずれにしてもよほど幸運でない限り、公共医療でただちに大腸内視鏡検査が受けられる保証はないということです。大腸内視鏡検査に関して言えば、保険会社によっては時間を短縮するために、専門医の指示ではなくGPの指示でも保険の対象にするところも出てきています。
早期発見、早期治療は患者さんや医療関係者だけでなく、保険会社にとっても一番の願いなのです。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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