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第206回  クライストチャーチでの損害保険会社の評価 

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先週の「キャンベル・ライブ」で2日続けてクライストチャーチでの損害保険会社の評価が取り上げられました。人気番組なのでご覧になった人も多いかと思い、今回はその件を取り上げてみます。
 
 番組の中で紹介されていたのが、「インシュランス・ウォッチ」という保険業界を対象とする消費者団体で、そこがクライストチャーチ周辺の1,000人の保険加入者にアンケートをとり、損害保険会社の評価を行いました。
 
結果はリンクをご参照下さい。
http://www.insurancewatch.org.nz/docs/Press%20release%20-%20August%201%20-%20Good%20and%20Bad%20Insurers%20Identified%20by%20Independent%20Survey.pdf
 
 ワーストの上位3社がオーストラリア系のIAGで、その後にAA/VERO、AMIと続きます。IAGはNZ最大のシェアを持つ損保で、銀行の窓口や、NZI、ステートの名称で販売されています。地震を機に経営が悪化したNZ系のAMIもIAGが買収しました。
 
 IAGによれば、地震を通じて商業物件や住宅を合わせ、6万6,000件のクレームを受け付け、そのうち住宅に関するものが2万7,000件を占め、住宅1万軒を再建しなければならないそうです。現在のところ、建て直した軒数は35軒だということでした。
 
 アンケート結果へのコメントは控えますが、業界全体に言えることとして、
1)カンタベリー地震、・クライストチャーチ地震とそれに続く数々の余震は保険会社の想定を超える規模だった
2)評価の悪い保険会社ほど加入者数が多い傾向にある
3)住宅の修理や再建は保険会社ではなく、国のEQC(地震委員会)が決定する
という点があります。
 
 私が扱っているAMP保険はアンケートでは「その他」に分類され、2番目に高い評価を得ていますが、正直な話クライストチャーチでのシェアはあまり高くありません。クレームの件数が少ないので、比較的スムーズに処理できている面もあると思います。お客様の例をみても、とっくに家の修理や建て直しに入っていたり、現金を受け取って決済してしまっていて、今でも未処理の事案はありません。
 
 EQCの存在も難しいものです。EQCは住宅保険加入者に対して最高10万ドルまでしか補償しないにもかかわらず(それ以上の部分は保険がカバーします)、修理か建て替えかなどの指示はすべてEQCが行います。保険会社はEQCの決定なしには動けないのです。
 
 保険業界では今回の地震での教訓から、建て替えなど明らかに10万ドルを超えるような事案に対しては、保険会社主導で補償を進め、後からEQCに10万ドルを請求するようにできないかという提案も出ています。
 
 復興の遅れは保険会社にとってもお客様のご不満、建材や人件費の値上がり、金利負担など負担が増すばかりで、決して望ましいことではないのです。保険会社によって対応ができていたりできなかったりなので、すべてを制度上の問題とすることはできませんが、今回の大変な経験を踏まえ、EQCと民間の保険会社の共同というNZ独自の制度がより効果的に機能するように願っています。

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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