「NZに引っ越してきて車の登録に行ったときに自動車保険を勧められたので、そこでA社に入りました。近所で泥棒騒ぎがあったときに、心配になって口座のあるB銀行で家財保険に入りました。
医療保険は要らないと思っていたのですが、友達が手術を受けることになり、その時の公立病院の対応を聞いて気が変わり、同僚に勧められてC社の保険に入りました。
今回とうとう家を買うことにして、いろんな銀行とローンの話をしたところ、D銀行の条件が一番いいので、そこに決めようと思うのですが、ローンには住宅保険と生命保険が必要だと聞いて保険を勧められています。このままD銀行で保険に入るか、この機会に保険全体を見直すのと、どちらがいいんでしょうか?」
こういうご相談はときどきあります。「ああ、うちもそうだった」と思い当たることはありませんか。私もNZで最初に入った保険は自動車保険でした。銀行でも何度か保険を勧められたことがあります。
この例のように、必要に応じて保険に入っているケースは非常に多いです。しかし、A社、B銀行、C社、今度はD銀行?とばらばらに入り続けるのと、ある程度まとめるのとどちらがいいのでしょう。私はある程度まとめることをお勧めしています。
まず損害保険(自動車、家財、住宅)を1社にまとめれば、どの保険も割引の対象になりますが、ばらばらに入っていると割引の対象になりません。また空き巣で住宅と持ち物が被害を受けた場合、同じ保険会社で加入していれば、保険金請求が一本化できるだけでなく、免責と呼ばれる自己負担も1回の支払いで済みます。
(この件は身近な具体例を書いたことがあるのでリンク先もご覧下さい)
第99回 損害保険を1社にまとめる利点-自動車、家財、住宅保険編
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=99
住宅保険に関しては、住宅ローンを組む銀行で「入らなければいけない」ような説明を受けることもあるようですが、もちろんその義務はありません。自動車や家財保険と同じ保険会社にすれば割引の対象になるので、よくご確認を。
業界の慣わしとして医療保険と生命保険には通常割引がありませんが、医療保険や生命保険に加入している人が損害保険に入った場合、損害保険に対して割引を適用することはあります。
保険代理店によっては、医療保険か生命保険のお客様が自動車保険に加入されると、自動車保険に割引を適用したりします。この方が家財や住宅保険など別の損害保険に入ったら、さらに損害保険のパッケージ割引が適用されるので自動車保険はもっと安くなり、新しく入った損害保険も最初から割引の対象になります。
生命保険は他の保険と違って、家族構成、年収、今後のライフプラン、収入に占めるローンの比率、保険料のご予算、既往症などをトータルに考慮して、数社の保険会社の中からご自身のニーズに合ったものを選ぶことが一番重要になってきます。
生命保険は万が一のときに住宅ローンの返済をするためのものではなく、一家の稼ぎ手に何かあっても、ご家族の生活に滞りがないように一家を守るためのものです。ですから、銀行で1つの商品を勧められるままに契約してしまう前に、それが果たして自分たちに一番合っているのかどうかよく検討し、専門家に相談してみるのも一案です。
次回は、ローン返済中に病気や怪我で働けなくなった時に返済を保障する住宅ローン保険の話をしてみましょう。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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