NZでは間接税の増税ラッシュが続き、場合によっては所得税減税分がそっくり持っていかれそうな勢いですが、この傾向は今後も続いていくでしょう。日本でも消費税増税の可能性が高まっていますが、社会が高齢化していく中で確固とした財源を確保したいのはどこの国も一緒です。
特にNZは個人や企業に年金(スーパーアニュエーション)の拠出を求めていないので(任意加入のキウイセーバーは別)、高齢者が増えるに従い国の負担がどんどん増えていきます。特に戦後生まれのベビーブーマーが続々と定年退職を迎えるにあたり、年金と医療費の急激な増大は避けられない情勢です。
将来的な歳出の拡大を個人所得税や法人税といった直接税で賄っていくことには、限界があります。必要額を増税、増税また増税で捻出していくわけにはいきません。重税は労働意欲を減退させ、企業活動を疲弊させます。また税率の高さは国際競争でも大きな足かせになります。キーウィのオーストラリア移住に歯止めがかからないのも、隣国での雇用機会の多さだけでなく、高い収入と低い税率が魅力になっているからです。
間接税は幅広く徴収する分、国にとり確固たる財源になります。ロンギ元首相がいみじくも言ったように、「GSTは麻薬の売人からも徴収できる」わけです。麻薬の売人が自分のボロ儲けをIRD(税務署)にきちんと申告し所得税を納める可能性はゼロですが、彼らも買い物をするたびに12.5%のGSTを納めているわけです。つまり間接税から逃れられる人はいないのです。
もちろん税金ですから払わなくてはいけないわけですが、節税したり、税還付を受けたり、別のところで資金を確保したりして、その負担を軽くする方法もあります。節税に関しては前々回も取り上げたように、10月からのGSTの15%への引き上げに先駆けて、家具や家電など大きな買い物を済ませておくことなど一つの方法でしょう。
それ以外の節税では、不動産を保有している人でレーツを分割払いにしている場合、10月以前にその年度の残額を払ってしまうのも一つの手です。地方税代わりのレーツですが、これにもGSTがかかっています。レーツは年間で数百から数千ドルになるものですから、2.5%の差額は節税に値するでしょう。
身近な税還付としては、お子さんがいる家庭が毎年学校に納めている寄付金がその対象になっているのをご存知でしょうか。寄付後に学校から領収書をもらい、IRDのウェブサイトでフォームをダウンロードして申請できます。還付率は33.3333%なので、ざっくり3分の1が戻ってくる計算です。寄付金が300ドルなら100ドル、きょうだい2人なら200ドルとなるので見逃せない金額です。
IRDのリンク
http://www.ird.govt.nz/income-tax-individual/tax-credits/dch-taxcredits/#claim
別のところで資金を確保する方法についてはまた改めてお話します。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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