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第119回  ACCのおさらい 

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最近、ACCに関して何回か同じような質問を受けたので、今回は知っているようで知らないACCのおさらいをしてみましょう。
 
 ACC(Accident Compensation Corporation)とはNZ独自の事故補填機関です。その歴史は1900年までさかのぼる古いもので、労災補填制度として出発しました。労働中にケガを負い雇用主が治療費を払えなくても国が払ってくれるという、労働者全体の保険制度でした。こうした生い立ちから病気は対象にせず、日本の健康保険とは全く異なります。
 
 1960年代に入りNZのモータリゼーションが進む中、自動車事故でのケガも加害者・被害者を問わずに補償することになりました。これは「社会は輸送による利益を享受している」という考え方に基づき、自動車事故による損害賠償を個人に問わないことを目的にしていました。今でもその考え方が受け継がれているため、NZには日本では不可欠な自動車保険、対人賠償保険というものがありません。
 
 ACCでの補償の対象は拡大を続け、今ではスポーツでもDIYでもレジャーでも、ケガをした場合は理由を問わず、全てACCでカバーされています。対象者も国民や永住者だけでなく、国内で起きた事故であれば観光客でも補償の対象です。(「ワークビザやワーキングホリデー・ビザではACCの補償にならない」というのは間違いで対象になります)
 
 補償の内容も治療費ばかりではなく、事故によって働けなくなった場合の生活保障、お亡くなりなった場合の死亡保障(葬式代)など幅広いものです。これを賄う膨大な費用はACC税(ACCレビー)と呼ばれる雇用者・被雇用者双方が支払う一種の税金で賄われています。支払い金額は収入や仕事の危険度などによって細かく分かれています。最も高額を負担しているのはプロのラグビー選手だそうです。また、ガソリン代や自動車登録費用にもACC税が含まれています。
 
 この制度がどう機能しているかを見てみましょう。例えばスポーツ中にねんざしたとします。これは間違いなくACCの対象なのでGPへ行き、状況を説明して治療を受けます。そこでACC申請用紙に必要事項を書き込みます。GPの方でACCの対象と判断すれば、ACC手続き費用として十数ドルから20ドルぐらいを請求されるだけで(公立病院では無料ですがケガの程度によっては待ち時間が長くなります)、治療費は一部自己負担のものを除き請求されません。
 
 その後、自宅にACCから手紙が来てクレームナンバーを知らせてきます。クレームナンバーはケガごとに決められていて補償期間などもこれに基づいて決まっているため、この手紙は大切に保管して下さい。継続治療を受けている限りACCの対象になりますが、治療の一環であってもフィジオセラビーなどは自己負担金があります。
 
 自動車事故でのケガ、料理中のやけど、スポーツでの骨折、重い荷物を持ったときのぎっくり腰など、病気以外のものはほとんどがACCの対象なので、対象になるかどうかはっきりわからないときは、GPかACCに問い合わせてみることをお勧めします。
 
ACCホームページ
http://www.acc.co.nz/index.htm
 
■お知らせ■
 永住者やワークビザ以外の方(学生、ワーキングホリデービザ、ガーディアンビザ等)の医療保険の取り扱いも始めました。お気軽にお問い合わせ下さい。

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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