前回からの続きです。
政府の税制変更で、「今年7月1日以降の生命保険料が最悪25%値上がりするかもしれない」という話でした。25%という数字は業界を取材した新聞記事から出てきたもので、確定ではありません。今のところ、どの保険会社も7月以降の態度を明らかにしておらず、課税分の吸収、顧客への転嫁、転嫁する場合の負担率など全く見えない状況です。
私が取り扱っている保険会社だけを見ても、
A社:すでに課税を先取りして保険料の見直しを進めており、7月以降の極端な値上げを回避する方針
B社:この3月に保険料を値下げし(値上げではなく)、値上げ前の顧客の囲い込みに出ている模様
C社:様子見で具体的な動きなし
と各社各様です。
「6月30日までは旧料金で7月1日以降は一斉に新料金」になるとは限りませんが、7月以降新しい保険料が適用される可能性は残念ながら比較的高いと言わざるをえないでしょう。なので、すでに生命保険に加入している場合や加入を検討している場合は、ぜひ早めに担当者から助言を受けたり、相談に行ったりすることをお勧めします。
特に業界経験が長くたくさんの顧客を抱えるアドバイザーは、各顧客の生命保険の見直しでこれから6月いっぱいまで非常に忙しいでしょうから、そういう担当者を持つ場合は早め早めに対応しておいた方がいいと思います。私はこの限りではないので大丈夫ですが(笑)、お客様によってはすでに見直しに入っています。
さて、前回も触れたように、今回の税制変更は5年間の移行期間が設けられています。5年間の意味するところは、6月末までに加入した保険期間5年以上の生命保険であれば、新たな税制の影響を受けないという措置です。つまりこの分に関しては新たな課税がないので、保険会社も税金分を顧客に転嫁する必要がありません。
ではどうしたら、5年間の移行期間の恩恵を得る事ができるのでしょうか。一番確実なのは、保険期間5年以上の保険に加入することです。例えば10年満了(保険料払込期間10年)の保険に加入した場合、7月移行の値上げの影響を10年間受けずに済みます。
日本人の場合、生命保険加入の一番の理由が、「一家の稼ぎ手に万が一のことがあったときに残されたご家族の生活を守るため」です。それがキーウィの場合だと、一番の理由は「住宅ローン」です。(この話はすでにしているのでリンクもご参考下さい)
第66回 生命保険-キーウィの場合
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=66
そのため、値上がりで儲かったり、離婚してしまったら(!)数年で売ってしまうかもしれないマイホームのために10年満了の保険に入るキーウィはごく少数ですが、日本人のように長期的展望に立って加入する場合は、毎年更新していく通常の保険以外の生命保険も一考に値すると思います。(もちろん途中解約もできるのでご安心を)
ただし、こうした保険期間の長い保険は商品化している保険会社としていない保険会社があります。「住宅ローンもあって、一家の稼ぎ手も1人だけ、生命保険は絶対必要」という場合は、ぜひ複数の保険会社の商品を比較検討してみて下さい。その中で、将来に、そして7月以降の想定される値上げに対処できる一番いい方法が見つかるかもしれません。次回はより具体例を見てみましょう。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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