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第43回  2年未満のワークビザにご注意! 

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今回はワークビザの意外な落とし穴について取り上げてみしょう。新聞で大きく取り上げられたことなのでお気づきの方も多いかと思いますが、ワークを申請する場合はぜひご注意を。
 
 南アフリカ人一家の5人の子どもの母であるアニタ・ラテガンさん(40)は、移住1年後に末期がんと診断されてしまいました。
 
 ニュージーランドでは市民権(国籍)または永住権、もしくは通算2年以上のワークビザを取得している場合のみ、無料公共医療の対象になります。長い順番待ち等い
ろいろな問題を抱えている制度とはいえ、原則は公共病院での専門医の診察、手術・入院が無料になります。末期がんのような命にかかわる深刻な状況では、診察待ちの順位も高くなり、早々に治療が受けられることでしょう。
 
 ところがアニタさんのワークビザは2年間に56日足りなかったのです。報道ではその理由が記されていませんでしたが、多分パスポートの残存有効期間の関係と思われ、「通算2年以上のワークビザ保有」という規定を満たしていませんでした。そのため彼女は無料公共医療の対象者から外されてしまったのです。
 
「私たち一家は若く健康で、移住後早々に医療保険に入ることなど考えていませんでした。最初の3ヶ月は生活費削減のためにマットレスに寝ていたくらいなので」とは、アニタさん自身の言葉です。
 
 無料公共医療も受けられず、治療費をカバーする医療保険もないとなると、日本の健康保険のような制度がないこの国では、私立病院での治療費を全額自己負担するしかありません。彼女が化学療法などの治療を受けるためには、8万ドル(約600万円)もの大金を自分で支払うしかありませんでした。
 
 一家は国への善処を求め、マスコミを通じて寄付を募ってきましたが、結局、無料公共医療への道は開かれませんでした。アニタさんは7月に入り、寄付で集まった4万ドルをもとに私立病院での第1回目の化学療法治療を受けました。これからの長丁場を寄付や家族の支えだけで乗り切っていくのは大変心細いことでしょうが、お互い移民の身、ぜひ全快されるよう願っています。
 
 アニタさんの報道はワークビザを取る人への貴重なメッセージになったと思います。日本の場合、パスポートの有効残存期間が1年未満の場合、新たなパスポートの発給が受けられるので大事なビザを申請するときにはご注意ください。(特に子どものパスポートは有効期間が5年と短いため見落とす恐れがあります)
 
 1年以上2年未満の残存期間があり、パスポートの再発給も通算2年以上のワークビザの取得もできない場合は、海外旅行保険の延長にある短期滞在者向けの医療保険に入り、万が一のときに備えることをお勧めします。アニタさんの苦しみが1人でも多くの移民の教訓となりますよう。


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高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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