先日のオークランドの竜巻はびっくりでしたね。同時に雹が降ったり、局地的集中豪雨で冠水したり、強風で街路樹が倒れて停めてあった車が押しつぶされたり、短時間で大変なことになりました。オークランドに住んでいながら、テレビを見るまでそんなことになっているとは知らなかったので、「これが全部、オークランド?」と、驚きました。奥が深いです、ニュージーランドの天気は!
さて、ここで質問です。
「強風で自宅敷地内の木が倒れ、自宅(もしくは隣の家)の一角が破損してしまった。この場合の補償は?」
絶対に起きて欲しくない事態ですが、家の周りに屋根より高い木がたくさん植わっているニュージーランドでは、それほど珍しい事態ではありません。現に我が家でも、強風で3メートルはある太い枝が折れ、あわやガレージ、車を直撃しそうになったことがありました。折れた枝は人間の太ももより太く、重さときたら大人一人では動かせないほどでした。あの時はさすがにドキリとさせられました。
さて、回答は?
1)自然災害なので、政府が補償してくれる。
2)住宅保険に入っているので保険会社が補償してくれる。
3)自然災害だから政府でも保険でもなく、自分で修理(もしくは弁償)するしかない
では、正解は?
実はこれ、全部正解になりえます。「えっ?どういうこと?」とお思いでしょうから、簡単に解説してみましょう。
まず、ご自宅に住宅保険(日本の火災保険に相当)をかけていない方の場合、無条件で3)となります。冷たいようですが、どこからも1銭も出ませんので、自腹を切るしかありません。賃貸住宅なら大家の責任となります。
住宅保険に入っていれば、自然災害の場合、政府の「地震委員会」(EQC)の補償が受けられ、それで足りない分を保険会社が補います。ですから、設定している保険金にもよりますが、保険でほぼ現状復帰ができることでしょう。EQCは住宅保険加入者が払い込んだ保険料をもとに運営されているため、補償は保険をかけた物件に限定されます。
5月にベイ・オブ・プレンティーを襲った集中豪雨とその後の土砂崩れや冠水で、たくさんの人が家を失ったのを覚えておいででしょうか? あれだけ頻繁に水害に見舞われる地域なので、さすがに住宅保険に加入していなかったのは5人に1人だったそうですが、その1人に当たってしまえば、失った家に対しどこからも補償がないのです。あの水害での保険会社へのクレームは2,500件以上に上ったそうですが、請求した人はさぞや胸をなでおろしていたことでしょう。この明暗こそ、保険なのです。
(つづく)
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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