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第9回  保険屋稼業のささやかな愉しみ 

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知らない方にお会いして、「保険屋やってます」と言うと、みなさん心持ち引きます。「何か買わされる!」と警戒されるようです。ちょっと困惑気味な目つきになる方も。間違っても首根っこ押さえて、「命が惜しかったら生命保険は入れ!」なんて言いませんから、ご心配なく(笑)
 
じゃ、なんでコラムまで設けて「保険!保険!」と言っているかというと、もちろんこれが仕事ということもありますが、保険のことを「よくわかっていながら入らない方」より、「よくわからないから入らない方」の方がはるかに多いからです。
 
時々お受けする電話で、「○○○なんですが、今から保険に入れませんか?」というのがあります。○○○は「車をぶつけた」だったり、「医者に精密検査を受けるように言われた」だったりいろいろですが、かなりのケースでご本人同様、私まで「あー、保険があればなぁ」と思うような状況なのです。
 
当然ながら、保険は契約されてからの事故や病気、損害を補償するものなので、何かが起きてから加入されても、すでに起きてしまったことは対象になりません。ですから、「残念ですが今回の件は・・・」とお断りせざるを得ません。相手の方の急場の様子や後悔が手に取るようにわかるので、本当に忍びないことですが仕方ありません。
 
ここでもたびたび申し上げていることですが、保険というものは自分の財布からポンと出せるような金額よりも、もっと大きな費用負担を補償するためのものではないかと思います。そうした負担を伴うことは頻繁に起きるわけではないので、何も起きなければ保険の“かけ損”と見なされがちですが、万が一起きてしまったときの安心感はかけがえのないものです。
 
同業者から聞いた実話をお話ししましょう。生命保険に入っているお客さんに「保険料を月々数十ドル上乗せして収入保障特約を付けては?」と勧めたところ、「住宅ローンもあることだし」と契約することになりました。ところが、その方、数ヵ月後に脳溢血で倒れ、しばらく働けなくなってしまいました。しかし、特約を付けていたので保険金がおり、ローンの返済も滞ることなく1年後には仕事に復帰されたそうです。
 
生命保険だけでしたら、ご契約者が死亡されるか余命宣告を受けない限り保険金がおりませんので、ローンの返済や生活費を保険金で賄うことはできませんでした。しかし、特約があったおかげでご家族が金銭的に困ることもなく、ご本人も治療に専念でき、何よりも病気のご主人の代わりに家庭を切り盛りした奥さまから感謝されたそうです。これなど、保険屋稼業のささやかな愉しみです。
 
こういうこともありますので、どうか保険屋を敬遠しないで、気になることがありましたら何でも相談してみて下さい。

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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