祖母の着物から始まった、世界に一着のリメイク。
ニュージーランドで、ヴィンテージ着物を使ったブランド「Hena Hena」を展開するナナさん。趣味のような小さな試みが、いかにして“ビジネス”へと形を変えていったのか。無理をせず「好き」を育ててきた、彼女の等身大のストーリーを伺いました。
※記事の最後に、Hena Henaの作品を直接手に取れるイベント情報を掲載しています。ぜひ最後までご覧ください。
着物リメイクを始めた“最初のきっかけ”を教えてください

祖母が亡くなった時にたくさんの着物を私に残してくれて、せっかくなのでNZに持ってきたのはいいものの着る機会が全くなくどうしたものかと考えた結果、着物を解いて普段着に作り替えてみようと思い立ち自分用にブラウスを作ってみたのがきっかけです。
初めて着物にハサミを入れた時、どんな気持ちでしたか?
小さい頃からお琴とお三味線を習っていたので、着物は自分にとって身近であり特別な存在でした。着物を着た時の、スッと背筋が伸びるような感覚が好きでした。そんな着物に初めてハサミを入れたときは、緊張感というよりは罪悪感に近い気持ちでした。
信じられないくらいの時間をかけて織られ、職人さんが丁寧に手縫いしてようやく完成するものだと分かっていたからです。10年経った今でもリメイクの最初の一刀は、毎回緊張します。
Hena Henaとして活動を“ビジネス”にしようと決めたのはいつですか?
手持ちの着物をリメイクして着ているうちに、周りから褒められることが増え、「自分にも作ってほしい」と言われるようになりました。そこから自然な流れで、ビジネスとして形になっていきました。
着物は“サスティナブル”と言われますが、ご自身ではどう捉えていますか?

昨今「サスティナブル」である事がどの業界でも求められている中、洋服は世界で毎年9千万トン以上廃棄されています。
一方で日本の着物は、長く使うことを前提に作られた究極のサスティナブル服です。
着物はすべて長方形の布でできていて、解けば元の反物にも戻せます。
昔は古くなった着物を解いて子ども用に作り直したり、さらに古くなると座布団や布団カバーにして最後まで使われていました。
今の大量生産・大量廃棄とは真逆の文化です。
スモールビジネスとして、一番大事だと感じていることは何ですか?
スモールビジネスで大事なことはいかにお客様を自分と商品のファンにするかだと思っています。
言い換えると、いかに応援してもらえる存在になるかです。
この人の作るもの、この人の進めるものなら買ってみようと思ってもらえるかどうかが全てだと感じています。
その考えに至ったきっかけと、実際にやっている工夫を教えてください
その考えに気づかせてくれたのは、とあるお客様との出会いでした。
「いつもインスタグラムで作品を見ています」と声をかけてくださり、どんな人が作っているのか興味があったと話してくださいました。
その方から「着物の背景や文化も発信してみてはどうか」と提案をいただきました。
それまでは作品を紹介するだけでしたが、それ以降は発信の内容を変えました。
着物が作られた年代や時代背景、製法や布地の特徴、仕入れの様子、制作過程なども発信するようになりました。
その結果、フォロワー数が増え、ウェブサイトやマーケットでの売上も上がりました。
特に嬉しかったのはお得意様が増えたことです。
新作を楽しみにしてくださる方、毎回マーケットに来てくださる常連の方、差し入れやお土産をくださる方もいます。
お客様は商品ではなく、その背景にあるストーリーごと購入してくださっていると感じています。
これまでで一番うまくいかなかったことは何ですか?そこから何を学びましたか?
数年前に複数の小売店から私の作った服を取り扱いたいというお声掛けを同時期にいただきました。これはHena Henaをより多くのお客様に届けられるいいチャンスだと張り切って制作に励みましたが、無理をしてしまい体調を崩してしまいました。その後半年以上全く制作ができないという状況になり、関係各所にご迷惑もかけ不甲斐ない思いをしました。このことから、細々とでもいいから長く続けられるよう仕事量を調整して無理をしないよう心掛けています。
今後、Hena Henaをどんなブランドにしていきたいですか?
体調を崩して休業した一件が今後のビジネスの方向性を考える機会になりました。
より多くの方に日本の着物のすばらしさを日常服を通して知ってもらいたい。でも一人で制作するのには限界がある。
そこで、制作にも人を入れて規模を拡大するのか、もしくは今までと同じようにデザインから制作は私一人で行うのがいいのかという問題に直面しました。ただ、私は「服を作る」ということが好きで始めた仕事ですから、そこは自分でやりたいという結論に達しました。
今後は外注できる部分は人に頼み、私はデザイン、制作に集中できるビジネスの形を作っていけたらいいなと思っています。
最後に、これから「好きなことを仕事にしたい」と考えている人にメッセージをお願いします
「好きなことを仕事にしたい」と思える時点で、すでに一歩踏み出しています。その気持ちは、ただの憧れではなく、これからの人生を形づくる大切なヒントです。
ただ、現実は「好き」だけでは続かない場面もあります。うまくいかない時期や、思っていたより地味な作業、評価されない時間も必ずあります。それでも続けられるかどうかが、本当に好きかどうかの分かれ道です。
だからこそ最初は、「好きなことを完璧な仕事にする」ことを目指さなくて大丈夫です。小さく試して、少しずつ形にしていく。
副業でも、発信でも、誰かに喜ばれる経験を一つ積むことが、次のチャンスにつながります。そして忘れてはいけないのは、「好き」は育てるものだということ。
続ける中で理解が深まり、できることが増え、気づけば誰かに価値を提供できるようになります。遠回りに見えても、その積み重ねが一番確実な近道です。焦らず、でも止まらずに。
【イベント告知】Hena Henaの作品に会える日
一着ずつ魂を込めて仕立てられた、着物リメイクのぬくもりを、直接手に取っていただけるイベントです。会場でお待ちしております。
イベント: With Love, Japan in Christchurch
場所: St. Peter's Anglican Church in Upper Riccarton
日時: 2026年6月20日 10:30-16:00
https://nzdaisuki-achievers.com/with-love-japan/
【Hena Hena】



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