ウェリントンのディー・グレントワースさんが、Free for Allを立ち上げたのは9年前。このショップを利用する人はNZ$5ドルを支払い入店し、店内の商品を無料でもらい受けることができる。商品は不用品寄贈や寄付によって集められるものばかりだ。
「小売店と同じですが、全てがタダです。Free for Allは人と商品をマッチングするデートエージェントみたいなものでした」とグレンワースさん。
しかし彼女は、ボランティアとして働くスタッフとカスタマーの安全を考慮して、ショップを閉店すると宣言した。
現在はポルリアにある400平方メートルのウェアハウスで経営されているこのショップでは、今年になってスタッフが警察を6回も呼んでいる。
一部の顧客からの暴力や脅し、不正な投棄などが繰り返し起こっている。建物は落書きされ、陳列された商品を床にばらまく悪質な顧客もいる。
「生活費が値上がりを続け、人の心も変わってしまったように思います。警察は来てくれず、私たちは自衛するしかありません。危ないときに、どう対処していいかわからないのです」
ショップを愛する常連客からは、彼女をこの決断に追いやった悪質な行為者に対し憤りの声が上がっている。
また長期に渡るサポーターであるウェリントン・リージョナル・カウンセラーのデイビッド・リー氏は、閉店を何とか回避したいと考えている。
「Free for Allは、環境面でも社会面でもあらゆるコミュニティの人々がウィン・ウィンの関係でいられる素晴らしいショップです。このモデルを失敗させたくはありません。例えば入場者を登録制にするなど、何らかの方法があるはずです」とリー氏。