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第242回  病気で働けなくなったらどうなる? 

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【収入が止まったら困ってしまう永住者の方へ】
 皆さんいろいろな夢や希望、目標や目的をもってNZで暮らしていることでしょうが、もしも病気やケガで働けなくなったらどうなるでしょう?ここから先は、「貯金がたんまりあるから心配ない」という人と、NZ国籍か永住権を持っていない人(ワークビザやさらに短期滞在ビザの人)には関係のない話になるので、それ以外の方、つまりごく平均的な「収入が止まったら困ってしまう永住者」の方はぜひ読んでみてください。
 
【7月から生活保護に大幅な見直し】
 ご存知の方も多いと思いますが、今年7月15日から通常ベネフィット(手当)と呼ばれている各種生活保護が大幅に見直されました。それまでは失業中だったら失業手当、一人親だったら家事目的(ドメスティックパーパス)手当、病気やケガで働けなくなったら疾病手当と、必要に応じて各種手当がありましたが、それが求職者(ジョブシーカー)手当に一本化されました。
 
【「受給者は働ける」が基本方針】
 制度変更の背景には「受給者は働ける」という基本方針があります。これは国が強く主張している点です。国は受給者の再雇用に向けさまざまな支援を行う一方、受給者も自立のための準備や就職の面接、コースの参加などさまざまな条件を満たす必要があります。詳しくはワーク&インカムのサイトをご参考ください。
http://www.workandincome.govt.nz/individuals/a-z-benefits/jobseeker-support.html
 
【病気・ケガ・障害で働けない場合】
 制度の基本方針は「受給者は働ける」というものであっても、病気やケガ、後遺障害があって働くことができない場合はもちろん求職者手当の対象になります。ただし、週15時間以上働くことができないことが条件の一つになります。また1年ごとに受給条件の見直しが行われます。
 
【受給額は既婚者で週171ドル】
 受給額は求職者手当てとして一律で、健康状態には関係ありません。25歳以上の単身者で週206ドル、既婚者なら子供の有無に関係なく一人週171ドル(二人とも対象なら週343ドル)、一人親なら週295ドルです。他にも住居補償など項目別で給付の対象になるかもしれませんが、健康の問題で働けなくなっても国からもらえる生活保護は週200ドル前後と考えておいたほうがいいでしょう。
 
【闘病中は収入が減っても出費が増える】
 さすがにこれだけで生活していくのは厳しいでしょう。それまでの収入がゼロになったり、激減しても生活費、家賃や住宅ローン、公共料金の支払いは止まりません。かえって必要なものを買い足したり、子供を預けたり、外食で済ませたりと、出費が増える可能性があります。ご主人の闘病中に、専業主婦だった奥さんが仕事に出るとか、奥さんの闘病でご主人が家事や育児のために仕事を減らしたりパートに切り替えたりという状況も考えにくいと思います。
 
【「病気でもACC」は大きな誤解】
 これが交通事故などケガであれば給与所得者の場合、ACCから給与の最高80%までの保障を受けることができます(ただし、ワーク&インカムから手当てをもらう場合はACCの保障と相殺されます)。けれど病気の場合はACCとは無関係なので一銭ももらえません。「ケガでも病気でも働けなくなったらACC」というのは大きな誤解です。
 
 病気で働けなくなったときの保険、次回に詳しくお話します。

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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