先週来年度予算が発表されました。その中にキウイセーバーの変更が盛り込まれたので、取り上げてみます。キウイセーバーは2007年の開始以来、幾度となく条件の変更を繰り返してきましたが、今回の変更はその中でも最大といえ、加入者にもこれから加入する人にも重要かと思います。
【キウイセーバーの変更点】
1)国の拠出額(Tax creditと呼ばれていますが納税しているかどうかは関係ありません)の上限を現行1,043ドルから、2011年7月以降は半額の年間521ドルに削減
2)企業と従業員の最低拠出比率を2013年4月以降、従業員給与の3%に引き上げ
3)2012年4月以降、企業の拠出金に対する非課税措置を廃止
なお、新規加入時に支給される1,000ドルの積立開始報奨金(Kick-Start)は継続されることも発表されました。
変更の具体例を給与所得者のケースで見てみましょう。計算を簡単にするため、毎週の拠出額が20ドルになる年収5万2,000ドルの例で見てみます。
【現行】
年収:5万2,000ドル
企業と従業員の最低拠出比率:各2%
従業員の積立額:年間1,040ドル(5万2,000ドル×2%)、週20ドル(1,040ドル÷52週)
企業の拠出額:年間1,040ドル(従業員の積立額と同額)
国の拠出金:年間1,040ドル(年間1043ドルが上限なのでほぼ満額支給)
年間積立額合計:3,120ドル(年収の6%相当)
【すべての変更終了後の2013年4月以降】
年収:5万2,000ドル
企業と従業員の最低拠出比率:各3%
従業員の積立額:年間1,560ドル(5万2,000ドル×3%)、週30ドル(1,560ドル÷52週)
企業の拠出額:年間1,560ドル(従業員の積立額と同額)
国の拠出金:年間521ドル(年間521ドルが上限なので満額支給)
年間積立額合計:3,641ドル (年収の7%相当)
例のように、すべての変更を反映した2013年4月以降は年間の積立額が増えることになります。従業員と企業の最低負担がそれぞれ1%ずつ上がるので、国の負担が1%削減される分が完全に相殺され、年収に対する積立額の比率は6%から7%に上昇します。
積立額が増えるのは喜ばしいことでも、ガソリン代、公共料金、食品価格などがどんどん値上がりしている中で、従業員も企業も最低の積立負担が増えるので「厳しいな」と感じる場合もあるでしょう。特に企業は拠出額への課税も始まります。ただし、実際の負担が増えるのは今からちょうど2年後なので、国はその間に景気が回復すると予想しています。
年収5万2,000ドルなら今より週10ドル、年収2万6,000ドルなら今より週5ドルの負担増になりますが、年間の積立額はそれぞれ521ドル、260ドル増える計算になります。これを「家を買うためにがんばろう*」とか「老後のためにがんばろう」と思うか、「とてもこれ以上は払えない」と思うかは、人によりけりでしょう。
ただ、1%の積立負担増として自分が週10ドルを追加で積立てれば、企業も週10ドル積立ててくれ、それがすべて自分のキウイセーバー口座に入り、転職しても仕事を辞めてもずっと残って65歳になったら全額引き出せると思うと、やはりキウイセーバーは他の投資にはない高い利回りが強みだと思います。次回もまたキウイセーバーの話を続けます。
*キウイセーバーを利用したマイホームの購入に関してはリンクをご参考下さい。
第85 回 キウイセーバー:マイホーム購入の近道
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=85
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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