なんだかよくわからないから「入ってナイ」
入ったけどよくわからないから「なにもしてナイ」
職場で入ったけどどうなってるのか「よくわからナイ」
 
　日本人とキウイセーバーの話をすると、この「ナイナイ攻撃」にあいます。よくわからないから聞くつもりもナイ、というわけで、あまり興味を持たれません。
 
「なんで保険屋がキウイセーバー？」
と思われるかもしれませんが、キウイセーバーは国が認めた公認ファイナンシャル・アドバイザーか、指定された金融機関しか取り扱うことができません。私は今のところ、NZで唯一の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーなので、「ナイナイ攻撃」にあってもキウイセーバーの話を取り上げるようにしています。
 
　キウイセーバーの話をするのは、それだけ大事だからです。知っていると知らないとではビックリするほど差が出ます。その差は「得したつもりが、あれれ？」というほどなので、永住権があったらぜひキウイセーバーのことを知って下さい。ワークの人でも永住権を申請する予定であれば参考になると思います。
 
【ボーナス1000ドルの落とし穴】
　キウイセーバーは加入時の1000ドルのボーナスにひかれて加入する人が多いのですが、これがけっこう問題になります。ボーナスが65歳まで引き出せないのは、みなさんお分かりのようですが、ボーナスをもらうために加入だけして、積立てをしなかったらどうなるのかは、ご存知ないケースがよくあります。
 
　加入すると積立てをしようがしまいが、プロバイダーが口座管理料として毎月数ドル（だいたいは2～3ドル）を残金から自動的に引き落としていきます。月3ドルの手数料であれば、もらったボーナスは1年後に964ドルになってしまいます。何もしなければ単純計算でボーナスは27年でなくなってしまいます。インフレを考えると、口座管理料も値上がりしますから実際はもっと早くなくなってしまうでしょう。
 
【子供のキウイセーバー加入は慎重に】
　これもよく聞くことなのですが、
「銀行に行ったらキウイセーバーを勧められて、家族4人で入ればボーナスが4000ドルもらえると言われた」
というケース。
 
　私は子供のキウイセーバー加入には慎重です。なぜなら18歳までは年間1 043ドルまでもらえる国の拠出金（Tax Creditと呼ばれていますが納税しているかどうかは関係ありません）がもらえませんし、ボーナスの魅力で口座を開いても放置すれば上で説明したようにボーナスがどんどん減っていくだけです。銀行の窓口でここまで説明を受けたという話は聞いたことがありません。
 
「でも、子供に貯蓄の大切さを教えたい」
「おばあちゃんがスポンサーになって代わりに積み立ててくれる」
という話も聞きます。これは個人の事情を尊重しますが、貯蓄目的であれば毎月口座管理料が引かれるキウイセーバーよりは銀行預金の方がお得でしょう。預金であれば引きおろしも自由にできます。特に子供がお小遣いから少額を積み立てるような場合は口座管理料が負担になると思います。
 
　キウイセーバーは実際に積立てをする人には非常にお得でよくできた制度ですが、利用方法を間違うと必ずしもお得なものではありません。
「いつかボーナスがもらえなくなるかもしれない」
という説明を受けた人もいるでしょうが、一度加入したキウイセーバーはNZを完全に引き払ってしまわない限り解約することはできないのでご注意を。
 
　極端な例ですが、子供のために口座を開き放置した場合、どこかで積立を開始しないと、ボーナスをもらっても年齢によっては残高がマイナスになってしまいます。（つまり積立てていないのに、手数料を払わなければならなくなります）
 

　今週発表される来年度予算案では国の拠出金の引き下げが発表される見通しで、今までの恩恵が近々減る可能性があります。まだ加入しておらず老後への積立ての意思があるのなら、キウイセーバーは国の拠出金や雇用主負担が加算されて銀行預金よりも遥かにお得になるので、ぜひお早めに。詳しくはリンクをご参考ください。
 
第80回　キウイセーバー：キウイセーバーがお得な訳
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=80
第83回　キウイセーバー：早期加入が有利な訳
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=83