医療保険で一番問題になりやすいのが既往症(保険加入以前に発症していた病気や症状)の扱いだということは、前回お話した通りです。本人が「たいしたことはない」と思っていても、医者の所見や保険会社の解釈が同じとは限らないからです。
さて、既往症はすべて医療保険でカバーされないのでしょうか?これも保険会社によって、また個々のケースで全く違う解釈になります。
「A社は既往症として除外項目とした」(つまり請求しても保険がおりない)
「B社は保険料の割り増しを条件に既往症扱いにしない」
など、私が扱うケースでも同じお客様に対して全く違う対応が取られることがあります。
除外項目に指定されてしまうと話はそこまでなのですが、条件付きでも除外項目にならなければ保険の対象となる可能性があります。主な条件は「保険料の割り増し」「一定期間発病や発症がない」などです。
例えば何年か前に医者にかかっていたとします。しかし、その病気や症状は一過性のもので完全に完治して再発していなかったとします。その場合、保険会社の判断で「今後○年以内に再発しなければ保険の対象とする」という判断が下されることがあります。
この場合重要なのは、例え完治していても保険会社にそのことを伝えていることです。保険加入時に「もう完治しているから」という自己判断で申告をしないと、こうした条件の対象にならないので注意が必要です。
「症状が軽い」「すでに完治している」「糖尿病などの生活習慣病がある」といった人は「既往症は保険の対象にならないから」と医療保険加入そのものを見送ってしまう前に、ぜひ条件付きででも保険の対象にならないかどうか、複数の保険会社にあたってみることをお勧めします。既往症があっても、それ以外の病気にかかることはよくあります。持病がある人でも医療保険に入ることは大切だと思います。
これ以外に既往症をカバーする方法があるとすれば、団体保険に入ることです。大手企業に就職して職場の団体保険に加入すれば既往症も保険の対象になります。これは持病のある人には心強いでしょう。ただし、退職したときには保険を継続できないので、新たに自分で入り直した医療保険では既往症は通常通りの扱いになります。
もう一つ注意したいのは、団体保険に力を入れている保険会社は損害率が高くなりがちで、保険料が値上がりしやすい傾向にある場合もあるので、そうした保険会社の保険に加入する場合は、加入時の保険料だけでなく数年後の保険料の概算を知っておくことも大事かと思います。(どの医療保険も年齢に合わせて値上がりしていきます)
いずれにしても各社各様で女性・男性、加入時の年齢、喫煙の有無などによっても保険料設定が変わってくるので、加入する場合は担当者にできる限り詳細を伝え、最も条件の良い保険を探してみて下さい。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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