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第132回  日本人は病弱?-医療保険編 

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以前に保険会社の担当者と電話でやりとりしているときに、「どうして日本人はこんなに既往症が多いのか?病弱なのか?」と聞かれました。既往症とは保険に加入する前に発症していた病気や症状を指し、すでに完治していても治療を継続中でもすべて既往症と見なされます。
 
 ちょうどあるお客様の保険加入手続き中だったので、担当者は申し込み用紙に記載された既往症を見て疑問に思ったようです。「まだ若いのに、どうしてこんなに病気が?」というところなのでしょう。
 
 これには訳があります。日本人が病弱だなんてとんでもない。むしろキーウィの方が車頼みの運動不足や肥満が原因で、若いときから生活習慣病を抱えている人がけっこういます。では、なぜ日本人は既往症が多いのでしょうか。
 
 一番の理由は「予防医療の発達」でしょう。お客様の例を見ても、既往症の多くが会社の健康診断で指摘されたものです。本人に自覚症状がないうちに早期発見され、大事に至らずに対処することは医療の理想です。実際、定期的な尿・血液検査でたくさんの病気がわかるのは読者の方も良くご存知のことでしょう。
 
 その結果、40代ともなると小さなことでもいくつか既往症がある方が普通になってきます。しかし、NZのように職場での定期診断がないと、症状が出てくるまで病気に気付かなかったり、病状そのものに対する知識も乏しかったりします。
 
 数年前に政府の啓蒙広告で、朝目覚めたら失明していた人が自分の経験を語る内容のものがありました。その人は糖尿病にかかっていたのですが本人に自覚症状がなかったため発見が遅れ、失明して初めて病気を知ったというのです。「もう2度とこの目で子供達を見ることができない」と語っていたのが身につまされました。
 
 なので予防医療の結果として既往症があることは決して悪いことではありません。病気を早目に知ることは、その病気への知識を深めたり、症状に敏感になったり、生活習慣を改めるきっかけになるからです。誰にとっても早期の小さな手術は悪化してからの大きな手術より望むところでしょう。
 
 既往症の多さはある意味で、医療の先進国から来ている証とも言えるかと思います。40代になったら医者にかかったことがないことを良しとするよりも、いつでも気軽に相談に行けるかかりつけの医者(ここではGP)を持っておくほうが大事ではないかと思います。NZは定期診断を受ける機会に乏しいので、予防医療も自分から進んでする必要があります。
 
「でも医療保険では既往症はカバーされないので、既往症があるのは損ではないか?」という意見もあるかと思います。その件は次回また改めてお話しましょう。

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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