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第112回  対物事故を起こしてしまったら-自動車保険編 

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生命保険の話が続いたので、久しぶりに自動車保険の話をします。
 
 今月に入って、レミュエラ・ロード沿いにあるインクカートリッジの詰め替え店に自動車が突っ込みました。コミュニティーペーパーの一面になったので、イーストオークランド在住なら心当たりがある人も多いでしょう。
 
 早朝の事故で怪我人がなかったのは不幸中の幸いですが、店は大破して今はバリケードで全面的に封鎖されています。報道によると、運転手は酒を飲んでおり、ハンドル操作を誤り制御が利かなくなって突っ込んだようです。
 
 さて、この事件を保険の面から見てみましょう。まず、運転者が保険に入っていなかった場合、当然ですが全額自己負担で弁償しなければなりません。店側は保険に入っているそうなので、保険会社を通じて運転者に請求が行き、分割払いとなれば金利も加算されていきます。事故写真から見て、数万から最悪十数万ドルの負担になるでしょう。
 
 もしも、運転者が対物賠償保険(サードパーティー)でも総合保険(フルカバー)でも、保険に入っていたらどうなるでしょう? いずれの場合も、免責さえ支払えばどこの保険会社でも建物への損害と在庫などへの損害も補償設定額の範囲内でカバーするはずです。ただし、これには条件があります。飲酒量が法定量以内であるなど、違法行為がなかったことが証明できればです。規定以上の飲酒が確認された場合は事故ではなく犯罪に相当するため、保険の対象になりません。
 
 こうなると無保険者と同じで、店側の保険会社を通じて全額を弁償しなければなりません。保険会社はこの辺の回収にかけてはプロですから、財産差押えや給与からの強制返済などで絶対に回収します。楽しい飲み会の酔いが覚めるどころの話ではなくなるので、ハンドルを握ることの多いNZ生活、お互い十分注意しましょう。
 
 さて、店側はどうなるのでしょう。報道によると店は保険に加入しています。この事件の場合、完全に加害者が特定できており、保険会社は加害者からかかった費用(店の再建費用だけでなく破損した在庫などの費用も含む)を回収できるので、店は免責の支払いさえ免除される可能性があると思います。ビジネス保険はほとんどテーラーメード保険で一件一件内容が異なるため一概には言えませんが、まず店の責任は不問でしょう。
 
 さらに、店舗や在庫の損失だけでなく、店が開けられない間に発生する損失にも保険をかけていれば、休業期間の保障を受けることもできます。例えばレストランで冷蔵庫が故障した、シェフが怪我をしたため臨時のシェフを雇い入れたなど、休業を余儀なくされる事態や営業に直接かかわる事態も保険でカバーすることができます。
 
 この店に車が突っ込むのは3年前に続いて2回目だそうで、ほんとうにお気の毒です。いずれにしても保険で全額カバーできていることでしょうが、二度と再発しないようにと願っています

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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