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第59回  保険と人生 第3回 

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「生命保険に入りたいんですが、何かいい保険ありませんか?」という問い合わせをよく受けます。各社からいろいろな保険が出ているので、「いい保険」かどうかは加入者が何を目的に保険に入ろうとしているかで決まってきます。
 
「子育て中なので保険料を低く抑えたいけれど万が一のときは保障が大きいもの」というのを希望するAさんには掛け捨て型のX保険がいいでしょうし、「日本でも保険に入っているのでローンが終わるまでの15年を別途カバーしたい」というBさんには、払い込んだ保険料が後から全額戻ってくるY保険を期限15年でかけるのもいいでしょう。
 
 AさんにY保険を勧めても、BさんにX保険を勧めてもあまり目的にかなっているとは言えません。つまり、何を目的に保険に入るかで「いい保険」はどんどん変わってきます。「いい家」「いい車」の定義が個人によって全然違うのと同じですね。
 
 「目的は特にない。夫婦どちらかに何かあっても残された方と子供が困らないように。」
 という本音もあるでしょう。確かに生命保険ですから、そういう返答もわかります。
それでは、こういう質問はどうでしょう?
「夫婦どちらかに何かがあった場合、日本に帰りますか?ここに残りますか?」この答えはいろいろです。
 
 例えばCさん夫婦の場合。
奥さん:経済力がないので実家を頼って帰国したい。
ご主人:帰国しても頼る先がない。仕事があるのでここに留まりたい。
 
 こうなると、ご主人が受取人の奥さんの保険は、NZで住宅ローンの残金とその後の生活費を加味した金額で入っておくのが得策でしょう。奥さんが受取人となるご主人の保険は、葬儀費用、家の売却期間や子供の学校の切りがいいところまでの滞在費として15~20万ドルの生命保険にここで入り、別に日本で入っている生命保険があればそれを継続しておき、帰国後の生活保障にするという方法もあります。(日本の保険の条件にもよりますが)家の売却だけでも不動産屋に頼めば数万ドルかかりますから、いくら帰国するといっても当座の資金は必要です。
 
 前に【質問コーナー】第2回NZと日本、生命保険はどっちがお得?
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=22
でお話しましたが、生命保険は保険金の額が大きいので為替変動には要注意です。NZドルは主軸通貨ではないため変動が激しく、ここ数年の間でも1ドル50円以下になったり100円近くなったりと、倍近い開きがあります。ですからNZで必要な金額はできるだけこちらで保険にかけておくと為替リスクを負う必要がなく安心です。
 
 生命保険の場合、何かあった場合の居住地以外にも、1.住宅ローンの有無、2.残された人の経済力、3.子供の養育費などが加入の決め手となりますが、案外見過ごされているのが、主に家事・育児をしている人に先立たれたとき、残された人が仕事中に子供を預ける費用です。多くの場合、働き手の方に大きく保険をかける傾向がありますが、経済力がなくても一家の担い手を失う代償は大きいので、細かいようですがこの辺も人生設計に加味し、よくよくご検討されることをお勧めします。
 

■お知らせ■
 このコラムでは、みなさまからの保険に関するご質問を受け付けております。関心の高い内容に随時お答えしていきますので、お気軽にこちら⇒ hoken@xtra.co.nz までご質問をお送りください。(お送りいただく場合は、タイトルを「NZ大好き:質問コーナー」として下さい)

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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