2回にわたって、寄せられたご質問のうち、「生命保険加入に際して気をつけておくべきこと」という点で、為替の問題を取り上げました。死亡保険金の3千万円が為替次第で、70万NZドルにも半額の38万NZドルにもなりうる具体例を見てきました。
では、為替リスクにさらされることなく、大切な方を亡くした後の肝心な時に、保険金を確実に手にし生活に役立てていくには、どうしたらいいでしょう?これは、ニュージーランドと日本の保険では、どちらが得か損かという話以前に、非常に重要な点です。
まず、「保険金を実際に使う場所」を考えてみて下さい。NZに永住するのか、日本に帰国するのか、親は留まり子どもだけ留学するのかなど、いろいろな選択肢があるでしょう。為替リスクを負わないためにも、加入は保険金を使う場所でするのが得策です。
NZ永住組であれば、収入、支出、住宅ローン、養育費などすべてがNZドル建てですから、万が一の時にNZドルを受け取るのが一番心強いと思います。帰国組であれば、日本で保険に加入し、将来的に円で保険金を受け取るようにしておく手もあります。ただし、NZ滞在中に不幸に見舞われてしまう可能性もあるわけで、帰国がかなり先の話であれば、NZにいる間は割安な掛捨て型に入っておくのがいいでしょう。
「正直、永住するか帰国するか決めかねている」という方もいるかと思います。将来設計はそう簡単にいきませんし、親御さんの健康次第という場合もあるでしょう。その場合も、こちらにいる間は掛捨て型で保険料を抑えておきながら、万が一の時には大きな保障を得られるようにしておけば、安心ではないかと思います。帰国後は、日本の保険に切り替えて下さい。
次に、「保険加入の目的」を明白にしてみましょう。受け取った保険金を、「残された家族の生活費」「子どもの養育費」「住宅ローン返済」など、何に使うのかをご家族で話し合ってみてください。
生活費に充てる場合 - 最低何年分必要か?
養育費に充てる場合 - どこで教育を受けさせるか?NZか日本か留学か?
住宅ローンがある場合 - ローン残高は?ローン返済後さらにいくら必要か?
これらを組み合わせる場合 - それぞれの比率は?
漠然と「3千万円」「5千万円」と言っても、ローンを返済してしまうといくらも残らなかったり、日本の保険では税金の心配もあります。もちろん保険料の支払いも無理のない範囲にすべきですから、保険代理店ともとことん話し合い、各種シミュレーションを見せてもらって下さい。
いずれの場合も、保険はご家族や日々の暮らしを守るためのものですから、より身近で無理のないものに設定しておくのが一番です。引っ越したら、近所でかかりつけの医者や床屋を探しますよね?保険も同じです。引越した後も、「新しいところを探すのが面倒」「義理がある」と、遠い医者や床屋に行くのは何かと無理があるように、保険も今の生活を直接守るものでないと、無理や無駄が生じてしまうものです。
次回は「NZと日本の生命保険の違い」をご説明します。
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高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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