保険商品の話が続いたので、今回は業界周辺の話にします。先月末にアメリカを襲った超大型ハリケーン「カトリーナ」。保険金請求額の当初見積もりは260億米ドルです。(最終的にはこれに留まらないでしょうが)大国の大災害となると被害も桁違いですね。
なぜこんな話を始めたかというと、遠いアメリカの自然災害がここニュージーランドにもいろいろ影響しているからです。まずはお気づきのように、原油の一段の値上りです。被害に遭った場所はアメリカでも有数の石油基地、ハリケーンによる施設の閉鎖は原油高、ひいてはガソリン価格の高騰となって世界中に影響を及ぼしました。ニュージーランドも例外ではなく、「カトリーナ」の写真が新聞の一面を飾るや、あっさりリッターあたり1.5ドルをつけましたね(笑)。
実は保険にも影響が出るかもしれません。一応、保険屋なので業界事情もさらっと触れておきます。これはガソリン代のように顕著なものではないのですが、中長期的な影響が考えられます。カトリーナ被害で請求されると見られる保険金260億米ドルを誰が払うのか?
もちろん、保険会社ですが、保険会社は引き受けた保険のかなりの部分を、費用を払って再保険会社に引き受けてもらっています。平たく言えば、再保険会社は保険会社のための保険会社です。
彼らもまた、費用を払って引き受けリスクを第三者と分け合っています。その相手は、「ロイズ」として名を馳せるイギリスの保険組織などに所属するアンダーライターと呼ばれる個人や法人です。アンダーライターは無限に責任を負うので再保険会社の保険会社(多くはイギリスの貴族など個人ですが)といったところです。
地球温暖化などの影響で大災害が恒常化すれば、アンダーライターは巨額の負担を迫られます。彼らが引き受け手数料を引き上げれば、再保険会社も手数料を上げ、保険会社のコストが上がります。保険会社もコストを吸収しきれなくなれば、保険料を値上げせざるをえなくなります。この場合、ニュージーランドの保険にも影響が及ぶでしょう。
業界関係者の話によれば、昨年のアメリカでのハリケーン関連の保険金請求は280億米ドルだったそうですが(ほぼ「カトリーナ」一つ分)、再保険業界はこれを吸収し、特に目立った影響はなかったそうです。ただし、「9・11」のときは保険金請求が700億米ドルにもなり、これはかなりの影響があったそうです。
けっきょくのところ、ガソリン代も保険料も世界規模の話で、なにかあればニュージーランドも影響を免れないようです。遠い国の出来事も自分の生活と切っては切れないものなのだと、妙に感慨深かったりします。
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高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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