この円高NZドル安局面にあって、保険屋の立場から日本とNZの保険を比較検討しています。前回は受け取り保険金の面からお話してみましたが、今回は支払い保険料の面からお話してみましょう。よくある質問で「日本で入ってる保険、どうしたらいいでしょう?」と聞かれた後に、「毎月○万円払ってます」とか「夫婦で年間○十万円になります」と言われ、それぞれかなりの額になるのでけっこう驚いてしまいます。
質問のほとんどは、日本に収入がなくNZの収入を帰国のときに持ち帰ったり送金して支払いを続けているケースで、為替リスクを負っています。この場合、今までの円安NZドル高局面は良かったとしても、これからはけっこう負担を感じるのではないかと思います。「日本の保険、どうしたらいいだろう?」という疑問が出るのもごもっともです。
なぜ月々の支払いが夫婦で万単位になるのかというと、大半のケースで保険金の高さよりも付帯している特約の多さによります。日本は保険会社も多く競争も激しいので各社がいろいろな特約を出して商品の差別化を図っています。しかし、その中には海外生活には必要のないものや、薦められるままに付けてしまったもので加入者も何にいくら支払っているのかよくわからないケースも見受けられます。
参考のためにNZと日本の保険料を比較してみましょう。単純比較とするためにどちらも死亡保障のみで特約はないものとします。日本の保険はネット販売のみの業界内で保険料が最も安いとみられる保険会社のもので、NZの保険は代表的な2社のものです。為替は1NZドル=60円(11/3のNZ大好きさんのレート参照)とし、保険の種類は日本で一般的な10年間保険料据え置き型、NZの保険料は非喫煙者料金とします。
【死亡保障金約1,800万円(30万NZドル)の40歳男性の場合】
日本A社 NZ$74/月
NZ B社 NZ$52/月
NZ C社 NZ$44/月
【死亡保障金約1,200万円(20万NZドル)の35歳女性の場合】
日本A社 NZ$24/月
NZ B社 NZ$8/月(夫婦割引適用保険料)
NZ C社 NZ$29/月
これをご覧になってどう思われるかは個人でいろいろでしょう。改めて計算してみて、円高の影響を感じます。元々日本の保険料の方が割高感があるように感じていましたが(特にネット加入でないもの)、ここまで格差が拡大している一番の原因は円高だと思います。当然ですが、去年までの円安NZドル高局面に変われば、流れは逆になるのでこの辺はやはり個人のお考え次第と思います。
前回の結論の繰り返しになりますが、万が一の場合に残されたご家族がNZでの永住を続けるのか、帰国するのか、受け取った保険金をどの通貨で使っていくのかによって為替リスクを軽減し、それをもとに住宅ローンの有無や収入を考慮して保険加入や継続を決めたらいいかと思います。日本の保険を継続するにあたっても、特約の内容をよく見直し保険料のスリム化で円高対策を図ることもできるでしょう。
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高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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