【オークランドの大停電から二週間】
　オークランドの大停電から二週間が経ちました。すっかり過去の話になってしまったようですが、停電関連で保険金請求があるビジネス保険の案件に関しては、今まさに保険会社が支払いに向けて動いている最中で、まだまだ過去の話ではありません。
 
【損害保険が真価を発揮するのはいつ？】
　今回の停電を通じて改めて感じたのが、
「損害保険が真価を発揮するのは必要な保険金が一刻も早く支払われるとき」
だということです。事業主にとり営業ができないことは大変なことですが、被害への保険金が一刻も早く支払われれば、それこそが保険の真価ではないでしょうか。
 
【必要な補償、そして保険金と保険料のバランス】
「当たり前でしょう。保険は何でも保険金がおりるときが一番大事でしょう！」
と思われるかもしれませんが、損害保険というものは自動車のサードパーティー保険以外、加入者が補償金額を設定します。特にビジネス保険となったら、内容から補償金額まで全てがテーラーメイドになります。ということは、必要な補償と保険金がどれぐらいで、そのためにはどんな保険に加入し、いくらぐらいの保険料を支払うのかというバランスの見極めが非常に重要になってきます。
 
【ビジネス保険において担当者を持つことの重要性】
　停電中からお客様とやり取りをする中で思ったのが、「ビジネス保険で担当者を持つことの重要性」です。ビジネス保険はブローカー経由で加入している場合が多く、最終的にどの保険会社の保険に入っているのかがわからないばかりか、
「ホットラインに電話することになっていて、特に担当者はいない」
「ビジネスを買ったときに前のオーナーが入っていた保険を引き継いだので、内容も担当者もわからない」
という話が非常によくあります。
 
【非常時こそ必要になる密な連絡】
せっかく保険に入っていても非常時に、
「誰に連絡したらいいのか、わからない」
「損害が保険の対象になるのかどうか、わからない」
「被害を受けた物を処分または修理していいのか、わからない」
となったら、大変なストレスではないでしょうか。保険の原則上、被害を受けた物を保険会社が確認する前に勝手に処分することができない場合がほとんどです。今回の停電の例で言えば、解凍してしまった冷凍食品やアイスクリームを処分せずに保管するとなったら大変なことです。これが火災や強盗に入られて営業できないとなったら、さらに厄介です。専任の担当者がいればすぐに対応ができ、指示を受けることができます。
 
【担当者の役割】
　ビジネス保険は個人の保険に比べて、内容が驚くほど広範囲になります。事業主、従業員、顧客、出入り業者、隣の店や事務所、店や事務所の家主と、関係者が多いだけでなく、備品、在庫、機材、内外装、業務用車両など補償が必要になるものも幅広くなります。そのため保険の加入に際して担当者を持ち、どんな保険があるのか、保険金と保険料のバランスがどうなるのかをじっくり話し合った上、業務内容やこちらの担当者（店のマネージャーなど）をしっかり把握しておいてもらうことは重要です。
 
【必要な保険金が一刻も早く支払われるように】
　何か起きたときに担当者に連絡し、指示を受けることができれば、問題の処理や保険金請求がずっとスムーズになり、ストレスが軽減されることでしょう。こうしてこそ、
「必要な保険金が一刻も早く支払われる」
という状況に近づくことができます。
これを読んでいて、「そういえば、うちの担当者は誰なんだろう？」と思った事業主の皆さん、何もない今のうちからしっかり担当者を把握しておくか、いない場合はきちんとつけてもらうことです。ホットラインでの対応は、オペレーターごとに言うことが違ったり、責任者への取り次ぎに時間がかかったりして混乱を招く恐れがあります。