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第277回  ご注意!「リーキーホーム」の水漏れは保険の対象になりません 

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【冬によくある水漏れ】
 前回、「ご注意!この時期は事故が多い季節です」
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=276
と題して、冬場は自動車事故が増え、それに合わせて保険のクレームも増える話をしました。それ以外にも増えるのが、家の水漏れに関してのクレームです。NZの冬は雨季のように雨が多く、強風を伴って暴風雨になることもよくあります。それに合わせて、
「どうも最近の雨で水漏れしているようだ。」
という住宅に関するお問い合わせやクレームが増えます。
 
【原因と発生時がはっきりしているかどうか】
 この場合、住宅保険の対象になるかどうかは、水漏れの原因と発生時がはっきりしているかどうかです。
暴風雨で窓ガラスが割れて家の中が水浸しになった
木の枝が折れて屋根の一部と雨どいが壊れた
裏山が崩れて家に被害が出た
こうしたクレームはその原因と発生時間が特定できます。写真でも撮っておけばさらに手続きがスムーズになります。
 
【問題は「リーキーホーム」】
 問題なのは「リーキーホーム」と呼ばれている、いわゆる「水漏れ物件」です。リーキーホームは主に90年代以降に建設された設計、建材、建築工法、建築技術などさまざまな理由から、建設当初から問題があったとされる物件です。ややこしいのは建ててから数年、中には10年以上経ってから水漏れに気づくことが多い点です。こうした問題は建設時からのものとみなされ、「保険加入前からあった問題は対象にしない」という保険の原則にのっとり、リーキーホームの水漏れは保険の対象になりません。
 
【さらなる問題は家主も気づいていないこと】
 リーキーホームの場合、家主のほとんどが気づいていないことが問題をさらに複雑にしています。壁や天井に水漏れのシミを見つけ、「あー、この間の大雨のせいだ」と思って保険会社に連絡し、保険会社が専門の査定官を派遣してリーキーホームであることが発覚することはよくあります。家主にしてみれば、
「まさか。もうこの家に何年も住んでいて、今まで一度もこんなことはなかった。」
と信じられない思いでしょうが、査定官はその手の家を見続けているプロなので、リーキーホームなのか、突発的な問題なのか、相当正確に見分けられるようです。壁や床板をはがしてみると、中が湿ってシミやカビだらけだったり腐りきっていたりと、尋常でない状態になっていて、リーキーホームであることが確定します。
 
【「いざとなったら保険がある!」はまちがい】
 私が心配しているのは、多くの日本人が、
「リーキーホームでも、いざとなったら保険がある!」
と勘違いしていることです。リーキーホームが保険の対象なら、家主が国や市、建設業者や前の家主を訴えて大変な裁判を闘う必要はなく、リーキーホーム問題は社会を揺るがす大問題にはならなかったでしょう。保険の対象にならず、そのままでは家が傷むばかりで健康被害も懸念され、修理も建て替えも自己負担であることが問題になっているのです。この辺をよく認識した上で、家を購入するときはぜひぜひ慎重に臨んで下さい。

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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