【NZの救急車は有料】
先日、セミナーのスピーカーとしてお誘いいただき、在住日本人の方にNZの医療事情についてお話してきました。そのときの質問の中にNZの救急車の話が出てきました。ほとんどの在住者の方はご存知かと思いますが、NZの救急車は有料です。
【必ずある自己負担】
NZの救急サービスはセント・ジョンという慈善団体が運営しており、全国で900人のスタッフと2800人のボランティアが610台の救急車両を1日24時間運行しています。国は運営資金の約80%を負担していますが、残りの20%は利用者の自己負担となります。そのため、どんなに緊急な場合でも、利用者は必ず部分的な自己負担を求められ、後日請求書が送られてきます。
【ACCが自己負担を肩代わり】
救急車を利用しても、自分で払わなくてもいいケースもあります。交通事故やスポーツでケガを負い、国の事故保障機関ACCの対象となり、ACCがカバーする場合です。これはACCが支払いを肩代わりするだけで、救急車の利用が無料になるわけではありません。
【ACCは条件付き】
気をつけたいのは、ACCの自己負担分の肩代わりには条件が付くことです。例えば事故やケガから24時間以上経過して救急車を呼んだ場合は緊急とみなされず、ACCが自己負担分を肩代わりしません。
また、ひどい腰の痛みで救急車を呼んだものの、ケガではなく内臓疾患(つまり病気からくるもの)が原因だったり、慢性的な腰痛が悪化したものだったりするといずれもACCの対象ではなく、救急車は自己負担になります。
【自己負担はどれぐらい?】
救急車の自己負担がどれぐらいになるのか、簡単に書き出してみましょう。
ビザ別の自己負担
国民または永住者、2年以上のワークビザを保有する場合は公共医療制度の対象になるため、下記の「地域別の自己負担」が適用されます。それ以外の2年未満のワークビザ、観光ビザ、学生ビザ、ワーキングホリデービザ、ガーディアンビザなどを保有する場合は公共医療の対象にならないため、一律757ドルになります。ほとんどの海外旅行保険は救急車の費用が対象になるので、ご加入の保険の約款をご確認下さい。
病気以外の事故やケガであれば国内にいる人はすべてACCの対象になるので、対象になりさえすれば救急車の自己負担はACCが支払います。
地域別の自己負担(公共医療の対象者のみ)
オークランド、南島全域、ワイカト、ホークスベイ、ベイ・オブ・プレンティーなどほとんどのエリアは1回80ドルです。ただし、ノースランド、タラナキ、マナワツは65ドル。
(現在の費用はリンク先ご参照)
http://www.stjohn.org.nz/What-we-do/St-John-Ambulance-Services/Part-Charges/
【自家用車で行くと緊急扱いにならない場合も】
「救急車を待つ時間が惜しい」「自己負担を払いたくない」という理由で、自家用車で病人を公立病院に運び込んでも、緊急扱いではなく外来(walk-in)扱いになってしまう場合があるので、ぜひご注意を!
ケガの場合は血を流しているなど、他覚症状があるので緊急かどうかの判断がつきますが、胸の痛みなど自覚症状しかない場合は判断がつきかねます。こういう場合はぜひ救急車を呼んで、搬送中からセント・ジョンのスタッフの指示に従って下さい。
救急車の件は以前も記事にしているので、そちらもご参考下さい。
第126回 緊急の時はぜひ救急車を
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=126
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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