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第192回  予算案で発表されたキウイセーバー関連の政策 

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【今年度は大きな変更なし】
 先週24日に、2012/13年度予算案が発表されました。今までキウイセーバーの主な変更は予算に盛り込まれてきたので、今回も注意していましたが、発表された内容は以下の通りで、大きな変更はありませんでした。
1)2014/15年度に予定されていた、キウイセーバーの自動加入制度の導入を延期
2)2013年4月より、キウイセーバーのプロバイダーに対する開示義務を厳格化
3)デフォルト・プロバイダーへの管理を厳格化
 
【自動加入制度の延期】
1)の自動加入制度の延期はキウイセーバーの問題というよりも、加入者が大きく増えると財政負担も大きくなるため、財政再建を優先する政府が支出拡大につながる政策を延期したことによります。
 
[解釈]「加入者増=政府の支出増」ということからみても、政府がいかにキウイセーバーに対して手厚い支援をしているかがわかります。加入するだけで1,000ドルのボーナスがもらえ、積み立てを開始すれば、毎年年間最大520ドルまでもらえる制度は、国にとって大きな負担である反面、加入者にとっては非常に有利な制度なわけです。
 
 未加入の方、永住権が取れた方、今の政府支援を最大限に受けるためにも(支援は縮小傾向にあります)、早めのご加入をお勧めします、
 
【運用の透明度を改善】
2)はキウイセーバーのプロバイダーが運用ファンドごとの運用成績、運用利回り、費用(口座管理料など)、コストを公表し、加入者がより簡単にファンドやプロバイダーを比較できるようにし、運用全体の透明度を高めようというものです。
 
[解釈]開示を進めて、ファンドやプロバイダーの変更を容易にすることで、キウイセーバー全体の運用成績を改善し、制度に対する国民の信任を高めようとするものです。
 
【デフォルト・プロバイダーの管理】
3)は勤務先でキウイセーバーに加入した人が、特にプロバイダーを指定しない場合、IRD(税務署)はこうした加入者をが指定プロバイダーに自動的に振っていきます。この指定プロバイダーがデフォルト・プロバイダーと呼ばれています。今後はデフォルト・プロバイダーが加入者に有利なファンドで運用しているかなど、管理を厳格化します。
 
[解釈]「キウイセーバーに入っているのに、自分の積み立てがどこにあるかわからない。会社もわからないと言うんですが」というお問い合わせを受けることがありますが、この場合、デフォルト・プロバイダーのどこかに口座ができているはずです。
 
 勤務先経由でキウイセーバーに加入しても、口座は個人のもので会社とは関係ないため(そのため転職してもキウイセーバーには影響しません)、加入後の口座管理は加入者が自分ですることになります。
 
 キウイセーバーのプロバイダーの変更は簡単にできるので、口座がデフォルト・プロバイダーにある場合は、自分が取引のある金融機関に移すなどして、しっかり管理することをお勧めします。

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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