前回の「狭心症では公立病院の治療が受けられない?!」に医療関係者と思われる方より、英語のコメントをいただきました。その中で、
====胸の痛みは緊急なので、ぜひ救急車を呼んで下さい====
とありましたので、改めてここでご紹介しておきます。
前回取り上げた、84歳の高齢者が胸の痛みを訴えたのに「急性」や「緊急」として扱われなかった件は、この国ではこうしたケースがあることをお伝えしたまでで、繰り返しになりますが、胸の痛みを感じたらまず動脈硬化による狭心症を疑ってみて下さい。いったん痛みが収まったりすると、ついそのまま様子を見てしまいがちですが、狭くなった血管が詰まると心臓発作(心筋梗塞)を引き起こし、最悪取り返しのつかないことになります。
さて、ここで話を変え、救急車の利用について触れてみます。NZで救急車を利用したことがある人はあまりいないかもしれませんが、緊急時には111に電話をして利用することをお勧めします。
なぜ救急車かというと、ここは日本の生活よりもずっと車社会なので、家庭や職場で気分が悪くなったり、倒れたりした場合でも、家族や同僚が自家用車で病院に連れて行くことがあります。救急車を待つ時間が惜しいとか、救急車が有料とか理由はいろいろでしょうが、よく聞く話です。
しかし、病院によっては人手不足などの理由から、患者が自分で来るwalk-in(外来)と救急車で運び込まれるケースを分けている場合があります。
例えばワイタケレ病院の緊急であるEmergency Care Centreは、外来患者に対しては朝8時~6時半まで対応してますが、GPからの紹介のある患者と救急車で運び込まれた患者に対しては夜10時まで対応しています。数時間の違いとはいえ夜間であり、緊急の場合は一刻を争うので、胸の痛みのように他覚症状がなくても緊急のものはぜひ救急車を!
ご存知の方も多いと思いますが、NZの救急サービスはセント・ジョンという慈善団体が運営しています。組織はスタッフ600人とボランティア2,200人で成り立っているため、全国津々浦々というわけにはいきませんが、全国の85%をカバーしています。(つまりNZは場所によって救急サービスがありません)
セント・ジョンは保健省(Ministry of Health)から補助金を受けているものの、利用者にも一部の負担を求めています。ACCの対象となるケガ以外で救急車を利用した場合は有料です。(ACCの対象となる場合はACCが救急車代を負担)利用料は場所によって異なり、オークランドは全国で最も高く1回67.50ドルです。
また、公共医療が無料で受けられる国民、永住者、2年以上のビザ保有者以外が利用する場合は、保健省からの補助金が受けられないので、ケガ以外の理由で救急車を利用する場合、1回の利用料は600ドルになります。
詳しくはセント・ジョンのサイトをご参考下さい。
http://www.stjohn.org.nz/files/AandPTC.pdf
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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