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第71回  考えてみませんか?自動車の盗難特約 

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少し前の地域のフリーペーパーにこんな記事がありました。オークランド在住のキーウィの男性は、過去6ヶ月の間にバンを2台も盗まれたというのです。しかも、自宅のカーポート(屋根や囲いだけのドアのないガレージ)から盗まれたというのですから、他人事とは思えません。いずれも夜中から未明の犯行で、2回目は盗まれる瞬間を家の中から目撃していたものの、身の安全を考えて犯人を追わなかったそうです。
 
 1月に1台目を盗まれ、6月に2台目を購入してたった2週間で再び盗難に遭い、ほんとうにお気の毒です。彼の職業は骨董家具職人だそうでバンはまさに商売道具です。「最悪だったのは2台とも保険に入っていなかったこと。こんなことが自分の身に起きるなんて考えてもみなかった。」
と言うご本人。「この手の災難はニュースで知るものであって自分に起きることではない」とは誰もが考えることでしょう。残念ながらその保証はどこにもないのです。
 
 さて、保険屋の好奇心で彼がもしも2台目の車に保険をかけていたらどうなっていたか検証してみました。記事によるとエレズリー在住で、車種はトヨタ・ハイエース(1984年)、購入価格は約2,000ドルだったそうです。写真で見る限り彼の年齢が25歳以下には見えないので、これだけの情報を基に免責(保険金請求時の自己負担額)を300ドルとして、とある保険会社のソフトに打ち込んでみました。
 
 結果、サードパーティー保険(対物賠償保険:事故を起こした場合、相手の車や損害物のみを補償する保険)に盗難特約を付けたとしたら、車両価値を2,000ドルに設定した場合で一括払い年間保険料は280ドルでした。ただし彼の場合、すでに盗難の経験があるため、ほとんどの保険会社で保険料が50%の割増料金になることでしょうから、その場合の一括払い年間保険料は365ドル、これにGSTや政府の火災税を加えると実際の保険料は417ドル、月払い保険料は月々38ドル前後になります。
 
 彼に盗難の経験がなければ月払い保険料は26ドルです。では、車両価値がもっと高い車だったらどうでしょう。5,000ドルの場合は月払い保険料が29ドル、7,000ドルで31ドルとなります。(数字は簡単にするためにセント以下を端折ってあります)
 
 自動車保険は車種や車両価値だけでなく、住所(車の駐車場所)、運転者の年齢、NZ免許か国際免許かなどによっても保険料や免責が変わってくるので、これはあくまでも一例です。一般的に車の少ない地方都市や治安の良いとされるエリアは安く、大都市や治安の悪いエリアは高くなる傾向にあり、料金設定は細かく分かれています。
 
 実際に盗難に遭った場合はどうなるでしょう。ほとんどの保険会社は1ヵ月間の猶予期間を設けており、その間に発見されなかった場合にのみ保険金の支払い手続きに入ります。その場合、支払われる保険金は加入時に設定した車両価値とは限らず、そのときの市場価格(加入後の減価償却が加味されます)か加入時に設定した金額かの「いずれか低い方」になる保険設定が大半です。また、猶予期間内に車が発見された場合は、どんな状態であっても盗難保険の対象にはなりませんのでご注意下さい。
 
 上記のキーウィ男性の場合、1台目は半年以上経っても発見されず、2台目も記事が掲載されたときは盗難から2週間以上経っていました。その後、発見されたのでしょうか。盗難特約が高いか安いか、必要かどうかは個人の判断次第ですが、景気の悪化で治安も悪くなってきている今日のこの頃なので、現在無保険もしくはサードパーティーのみにご加入の方の参考になればと思って試算してみました。
 
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高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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