この時期になると日本から直接お問い合わせを受けることが多くなります。3、4月からのワーキングホリデーや留学に向けて、「海外旅行保険や医療保険は？」「現地での自動車保険は？」というご質問を受けるからです。今回はこうした短期滞在者の自動車保険についてお話します。
 
　まず基本的なことから。ニュージーランドの自動車保険は強制加入ではありません。ですから、無保険でも運転できます。では、事故を起こしてしまったときはどうなるのでしょう？
 
　人身事故の場合はＡＣＣ（Accident Compensation Corporationの略称）という政府機関が被害者も加害者も救済し、必要な医療を提供します。ニュージーランドでは個人が個人を訴えることができないため、被害者が加害者に対し損害賠償を求めて裁判を起こすことができません。双方ともＡＣＣの救済（死亡時には葬儀代程度の現金支給）を受けることになり、日本の対人賠償に相当する保険が存在しません。ＡＣＣは国民から外国人観光客まですべてを対象とする、浅く広い保障制度です。
 
　ただし、ＡＣＣが保障するのは医療費用のみで、車や物品の破損などいわゆる対物の部分はカバーしません。そのため無保険ドライバーの場合は、相手の車や自分の車の修理、修理期間中の代車費用、物品（店の看板など）を破損した場合はその費用を、自腹で負担することになります。事故が起きなければ出費はありませんが、起こしてしまえばかなりの負担を覚悟しなければならないでしょう。
 
　このような状況から、ニュージーランドの自動車保険とは対物、盗難、車の火災、車両保険を指します。商品構成は非常にシンプルで3種類しかありません。この件については、「明快！たったの3種類－自動車保険編」ですでにお話しているので以下のリンクをご参考ください。
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=4
 
　ワーキングホリデー、留学、子弟の留学に付き添うガーディアン（保護者）、長期観光など一時的な滞在で自動車保険に入ろうとする場合、保険会社の対応は本当にさまざまです。まず、加入希望者のビザや免許の種類（国際免許かＮＺ免許か）により、また保険会社の営業地域、支店、はなはだしくは担当者によって、加入できたりできなかったりします。日本から来た場合、こうしたばらばらな対応に面食らうかもしれませんが、これが現状です。（他の保険商品との抱き合わせ販売でのみ加入できる場合もあります）
 
　例えば、ほぼ同じ条件の人が同じ保険会社に問い合わせたときに、
「ワーキングホリデー・ビザの国際免許でも入れた。」
というケースがあるかと思えば、
「永住権保有者のみ対象、ワーク・ビザの人でも受け付けない。」
と断られるケースもあります。クライストチャーチでは断られたのに、オークランドでは加入できたり、その逆だったりという話もあります。また、自分が去年加入できたので友人に紹介したところ、今年は断られたという話もよく聞きます。
 
　しかし、「滞在中しょっちゅう車に乗る」「車で旅行に出たい」という場合、保険がないのは心配です。自動車保険専門の保険会社であれば、ビザや免許の種類、1年未満の短期間でもご加入になれます。あちこちの保険会社に当たる必要もなく、運転を開始する日に合わせて加入でき、簡単で安心です。次回はこうした短期滞在ドライバーの強い味方についてさらにお話しましょう。
 

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　このコラムでは、みなさまからの保険に関するご質問を受け付けております。関心の高い内容に随時お答えしていきますので、お気軽にこちら⇒ hoken@xtra.co.nz までご質問をお送りください。（お送りいただく場合は、タイトルを「ＮＺ大好き：質問コーナー」として下さい）